初代ポケモンずかんを修理する。
こんにちは。おもちゃの修理屋です。
今回は初代ポケモンずかんを修理してまいります。
初期状態
見ての通り、画面が経年劣化で真っ黒です。また蓋もきちんと閉まりません。
画面を修理する
画面が真っ黒なのは見るからにビネガーシンドロームです。 よーするに偏光板の劣化なので、偏光板を交換します。
まずは分解。
液晶部分を取り出し、
劣化した偏光板を引っぺがします。
剥がしたあとのガラス面のベタベタは強力なシール剥がしで綺麗にします。
写真撮るの忘れたので細かい手順は省略。
用意しておいた新しい偏光板。
偏光板には向きがあるので、もとの偏光板と同じ向きになるよう注意しつつ、これを同じサイズにカットして、古い偏光板の代わりにセット。
はい。画面が綺麗になりました。
(この写真では動作確認を雑にやったので接触不良で上下の表示が欠けていますが、あとでちゃんと組み立て直します)
欠けた部品の交換
蓋がきちんと閉まらないのであれこれ探ってみました。
蓋を閉めたときの留め金になるパーツがあり、これが欠けているようです。
見えにくいですが、上の画像の黄色い丸の部分の奥にあります。
問題の部品を取り出してみました。
片側のつまみが折れてしまってます。これが原因ですね。
こういう小さな部品は修復するのが難しいので、複製することにします。
まず型取りをし、
お湯で解けるプラスチックを流し込んで複製します。とりあえずいっぱい作る。
出来のいいやつを選んでデザインナイフでバリ取り。
からの塗装。右が元の欠けたパーツ、左が複製パーツです。
お湯で解けるプラスチックだとあまり精度は出せないので完全再現とはいきませんが、まあまあいい感じになりました。
レジンとか使うともっと綺麗に作れるのかも。
で、こいつをはめ込み、
組み立てます。表から見るとこんな感じ。
めでたく蓋がきっちり閉まるようになりました。やったぜ。
音が出ない!
ところがここで問題発生です。
電池を入れて起動してみたところ、音が出ません。いじくり回すうちに何か壊してしまったらしい。おもちゃ修理あるある。直し壊し。
大慌てで調べて回ったところ、ネジを外して開け閉めするうちに、負荷がかかるフラットケーブルのハンダ部分が千切れてしまったことが判明しました。
(写真は千切れる前に撮ったものです。千切ってしまったあとは本当に慌てていたので写真を撮る余裕なんてなかった。)
やっちまった感がありますが、直せないこともないので粛々と修復にとりかかります。
配線の修復
まずハンダを吸い取り、千切れかけのケーブルを完全に外します。被覆を剥いた部分の銅線はボロボロになってしまってたので全カット。
カッターで被覆をはがし(1本はうっかり短くしすぎたので、こっそり継ぎ足し)、
元どおり基盤にハンダ付け。
ちょっと不格好ですが繋がりました。
しかし、このままだと開け閉めするうちにまた断線することが目に見えているので、グルーガン(このためだけに買ったんですよ!)で補強してやります。
できました。これで一安心です。やれやれ。
動作確認
さてさて、再組み立てして動作確認といきましょう。
画面、良好。スピーカー、良好。まったく問題なし!
懐かしの初代ポケモン図鑑、ここに完全復活です。
おわり
とんだハプニングがありましたが、無事に修理完了となりました。
配線を千切ってしまったのは完全にミスでしたが、そもそもこのポケモン図鑑の修理、なかなか難易度が高かったです。
まずゲームボーイとかと違ってポケモン図鑑を直した人なんてまずいないので、先人の修理ブログなど参考情報がゼロ。
さらに、ここまでの説明だとあまり伝わってないと思いますが、各所にバネが使われているので分解と再組み立てもなかなか神経を使いました。
千切れたケーブルを見たときは少々青ざめましたが、終わり良ければ全てよし、ということで。
それではまた。