ポケットピカチュウを修理する。
こんにちは。おもちゃの修理屋です。
今日の修理対象はポケットピカチュウです。
以前ポケットピカチュウカラーを修理しましたが、今日はカラーではない初代の方を修理していきたいと思います。
以前の記事はこちらから。
ポケットピカチュウカラーを修理する。
初期状態
中古で入手したものですが、ほぼ動作品です。難点は2つあって、
- 十字キーの上が反応しない
- 腰につけて歩いても歩数がカウントされない(ただし手に持って力一杯シェイクするとカウントされる)
といった状態です。 こいつを修理していきます。
歩数がカウントされない問題を調査する
とにもかくにもまずは分解です。
ポケットピカチュウのネジはすべて同じサイズなので、精密ドライバー1本で開けられます。
まずは一段階、分解したようすがこちら。
一見なんの異常もないようですが、そこはポケットピカチュウカラーを何度となく分解してきた百戦錬磨の修理屋、ひと目で問題箇所に気づきました。
パーツが足りない。
......これだけではまったく理解できないと思いますので説明します。
まず、以前修理した、完全動作品のポケットピカチュウカラーの内部をご覧ください(ポケットピカチュウとポケットピカチュウカラーのつくりはほとんど同じです)。
赤い矢印の先に、細い針金がありますね。
ポケットピカチュウの歩数カウントの仕組みを少し説明すると、上部にある黒い横長の(すこし拳銃っぽい形の)部品が振動で上下に動くことによって電流がどーのこーのし、歩数がカウントされます。
この針金はというと、黒い部品が動くときのバネの役割を果たしています。バネがあることにより、ごく軽い振動でも歩数がカウントされるようになるのです。
問題のポケットピカチュウの写真をもう一度見てみましょう。
針金がありません。
これは、前の持ち主が分解したときに部品を紛失してしまっているパターンだと思われます。中古おもちゃあるあるです。
(なお、この針金、分解するときにちょっと変な方向に力をかけただけでもピョンと飛んでいってしまうという、大変失くしやすいパーツです。修理屋も以前うっかり紛失し、数十分かけて探し回る羽目になりました。)
バネが欠損しているわけですから、力一杯シェイクしないと歩数がカウントされないのも当然でございます。
針金部品を作る
紛失されてしまったものは仕方ないので、新しく作ることにします。
まず動作品のポケットピカチュウカラー から針金を取り出し、サイズ測定。
太さ0.1mmだと分かったので、同じ太さの針金を用意し、
ラジオペンチを使っていい感じに折り曲げて同じ部品を作ります。
できました。 上がポケットピカチュウカラーから取り出した正規品、下が修理屋お手製の品です。
ちょっとグニャグニャしてますが細かいことを気にしてはいけません。0.1mmの針金なんて人の指先で綺麗に加工できるものではないのです(開き直り)。
こいつを本来針金があるべき場所にはめ込みます。
できました。
ボタンが反応しない問題を修理する
次に十字キー上ボタンが反応しないのを修理します。
こういうのはどうせ接触不良なので、ちょちょいとクリーニングするだけです。
先ほどの状態からさらに分解し、
基盤を接点復活スプレーで磨きます。ゴムパーツ側も清掃します。
動作確認
修理は以上で完了です。
見た目には何も変化ありませんが、一応修理後の姿を載せておきます。
さて、動作確認したところ、
- 十字キーの上ボタン → 復活!
- 歩数カウント → 復活!
ということで、はい、全勝でございました。 扱い慣れたおもちゃの修理は楽でいいですね。
おまけ
ポケットピカチュウはたくさん歩くとコイン?が貯まるのですが、貯まったコインはピカチュウにプレゼントすることができます。
これは0コインから贈ることができるので、試しに0コインをプレゼントしてみたところ、
完全にふざけんなてめーといった表情で舌を出されました。可愛いですね。
では、今回はこの辺で。またいつか。